劉慈欣『三体Ⅱ』


書誌情報


書評

本作の冒頭で,前作では隠されていた重要な事実が明かされる.三体人たちの思考は,互いに筒抜けだったのだ.一方,地球人の思考を三体人が読めないことを利用し,地球人は四人の面壁者に地球の命運を託すことに.そして三体人は彼ら面壁者に対して四人の破壁者を送り込み,物語は彼ら面壁者と破壁者の互いの存亡を賭けた必死の頭脳戦を軸に進んでいく.実のところ,本作の読み味はサスペンス色の強かった前作とは少々異なっていて,三体文明の侵攻をいかに阻止するのか,またその策をいかに喝破するのかというSFミステリ的な面白さが前面に出てくる.上下巻におよぶ大部でありながら,読者を巧みに誘導していく手腕は前作より冴え渡っており,一度読みはじめてしまえばそのまま一気に読み切ってしまうことだろう.また,ハードSFではあるものの前提として必要な知識はシリーズを通して存在しないので,安心してお読みください.


書評メタデータ

本稿は《SFマガジン》2020年12月号(2020.10)に掲載された書評の再録である.


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