本作の主人公.ギャルゲの主人公のごとく,出会う女の子を全員惚れさせる恋愛体質.それに加えてかなり中二病気質で自己中心的なものの見方をしているため,ドローヴの一人称視点で語られるこの物語はドローヴの性格にかなり強い影響を受けている.
本作のメインヒロイン.かわいい.
パラークシの網元の娘.その生まれのせいか,若干高飛車で生意気な部分がある.
リボンの弟.作中で殺害される.
リボンも同様だが,ドローヴに対して敵対的な人物は物語で不遇な傾向がある.
パラークシの漁師.作中で謀殺される.この人もリボン同様,不遇.
強烈な夏の日差しによって蒸発した,どろどろの濃い海流のこと.一番濃い時期は歩くことも出来る.漁業が盛んなパラークシの街は,このグルームの恩恵で栄えている.
知能は高いものの,会話もせず,一貫した行動を示さない謎の二足歩行の生き物.今回の大どんでん返しで最大の役割を担う.
次作『パラークシの記憶』にも引き続き登場する.
地球でいう牛や馬などにあたる家畜.ロリンがロックスを使役していることもある.
最高.夏のうだるような暑さ,冬の身を切るような寒さが一冊の中に共存し,互いが互いの印象を引き立てている.最後の数頁でそれまでの物語の印象が一変する大どんでん返しはまさに「SF史上最大の大どんでん返し」というにふさわしい.このどんでん返しを物語の途中で予想できた人はいただろうか.もしいたなら,ぜひ名乗り出ていただいて,その予想の根拠と気付いた箇所を共有していただけるとありがたい.
基本的には抒情的な情景が語られて実に瑞々しいのだが,主人公ドローヴの目を通して語られる一人称小説ということもあり,ブラウンアイズへの過剰なまでの神聖視が散見される.神聖にして不可侵的な存在であるブラウンアイズに対して行った行為は色々と擁護出来ない部分が存在する.表面的にはいい話,いい青春恋愛小説,いいSFミステリなのだが,どこか歯切れの悪い部分が残ってしまう.(大どんでん返し自体はとても好きです)
今回は推理研と合同の部会だったということで,あまりSFを読みなれていない人もいたと思うのだが,どうだっただろうか.SFではあるがそこまで難解な設定はなく,最後のどんでん返しもSF的設定を使いつつ,見事に伏線を回収している.恐らく楽しんでもらえたと思いつつ,続編のSFミステリ『パラークシの記憶』もこれに負けない傑作だということを強調しておく.
SF研の人たちは,初日の『万物理論』と比較してどうだっただろうか.同じSFと言っても全く作風の違う2人の作者の作品であり,また同じ訳者でもこれだけ訳文体が変わることもある.こういう翻訳に関する面白さも知って,翻訳SF全般の面白さに触れてもらえればと思う.
コニイの他作品と,恋愛SFの名作を紹介する.
本作『ハローサマー,グッドバイ』の続編にあたるSFミステリ.パラークシの人々は代々記憶を遺伝するため,人々は犯罪の記憶が遺伝するのを恐れて犯罪を起こさない.しかし,ある日背中を刺された男の死体が発見される.
作中でかなり時間が経っているので,ドローヴやブラウンアイズなどの主要人物は直接登場しない.SFミステリとして非常に完成度が高く,(北原尚彦さんなど,ミステリ関係者を中心に)『ハローサマー』より高く評価する人もいる.山岸さんのイーガン以外の翻訳は貴重なので,翻訳者ファンとしてはその点でも楽しめる.
『ハローサマー』よりもギャルゲ成分が薄く,主人公の精神年齢も高めなので,本作のドローヴにむかついたひとでも安心して読める.せっかく長篇を一冊読んだのだから,ぜひ『パラークシの記憶』も読んでほしい.推理研のひとには特におすすめ.
英国SF協会賞を受賞したコニイの最高傑作のひとつとされる作品.ひとによっては,『ハローサマー,グッドバイ』や『パラークシの記憶』よりも出来がいいと言う意見もある.
恋愛SFを得意とするコニイの腕が光る一作.『ハローサマー』でも感じた人がいるかもしれないが,コニイの描く恋愛は自分に都合のいいものばかりで,読むひとによってはその独善的な恋愛観に嫌悪感を抱く人もいるかもしれない.この『カリスマ』でも味方によっては独善的ともとれる恋愛が展開されるのだが,この作品の特徴は主人公が独善的な恋愛だと自覚しているところ.コニイは独善的な恋愛観を確信犯的に提示していたのだ.
アマゾンの古書価格で8000円近くをつけている(9/10現在).面白いことは面白いらしいのだが,高くて手が出せない.まだ読んでいないので何とも言えない.
恋愛SFの金字塔.これもまた長らく絶版で手に入らなかった幻の名作なので,簡単に手に入れられるようになった今こそぜひ読んでほしい作品.短篇集であり,表題作「たんぽぽ娘」も気軽に読める分量になっているので,夏休み明けまでに読むのもよし.
海外SFで熱狂的なファンを持つ恋愛SFが『ハローサマー,グッドバイ』ならば,国内SFで熱狂的なファンを持つ恋愛SFが『マイナス・ゼロ』だ.タイムマシンに乗って着いた先は,29年前の戦前の東京だった.当時の街のにおいまで漂ってきそうな昭和初期の東京で,なんとか現代に戻ろうと奮闘する.「時に憑かれた作家」広瀬正の最高傑作で,星新一や司馬遼太郎など多くの人に愛されるタイムスリップものの不朽の名作.
本稿は東北大SF研wikiから保存した.保存にあたって,表記の統一のため,一部修正を行なった.