「絶滅寸前のオウム」と「アレシボ天文台」という,地理的に隣接しつつも全く共通点の見えない題材から,チャンは魔法のように鮮やかな筆致で,思いもよらない共通点を描き出してしまう.大変短い作品だが,チャンの醍醐味を味わうことの出来る傑作であると言える.
自らの滅亡を悟ったものが,科学的根拠と結びつけてそれを示唆する,という展開は某名作に共通するが,悟りと示唆のプロセスに焦点をあてた当該作とは異なり,本作ではその伝達のプロセスに焦点があてられる.
「ヨウムのアレックス」「オウムのコンタクトコール」「アレシボメッセージ」という科学的根拠から,チャンは「いい子でね.愛してる.」という言葉を導き出す.表では人間への諦観と慈愛を,裏では「静かにしないと,こうなるからね」という諫言を表した言葉だ.(訳者としては本来はばかるべき言動ではあるのだが,この一言こそ,SF史上最高のメッセージだと思う.)
作中で語り手のオウムは人間の想像力を讃えていたが,真に讃えられるべきは,我々のような凡百のそれではなく,チャン自身のそれであるべきだ.
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本稿は東北大SF研wikiから保存した.保存にあたって,表記の統一のため,一部修正を行なった.